単振動と三角関数

現実の対象を数学の中に写像する過程を「モデル化」という.
高校の物理で出てくるバネの単振動(自由振動)の式をモデル化し,微分方程式を用いて求めてみよう.

まず始めに
フックの法則:バネは自然長からの伸びが小さい範囲では伸びた長さと戻ろうとする力が比例する. (F = -kx)
ニュートンの第二法則:質点の加速度は,質点に作用する力に比例し,質点の質量に反比例する. (a = \dfrac{F}{m})
の2つを自然現象として仮定する.
※ バネによる力が変位とは正反対の方向に働くのでマイナスがつく.

フックの法則とニュートンの第二法則より F を消去すると

    \[ma=-kx\]

を得る.
ここで加速度は,

    \[a = \dfrac{dv}{dt} = \dfrac{d^2 x}{dt^2}\]

であることより

    \[m \dfrac{d^2 x}{dt^2} = -kx \iff \dfrac{d^2 x}{dt^2} + \sqrt{\dfrac{k}{m}} x = 0\]

という微分方程式を得る.
また,\omega = \sqrt{\dfrac{k}{m}} とおくと, この微分方程式は以下のようになる.

    \[\dfrac{d^2 x}{dt^2} + \omega^2 x = 0\]

特性方程式が

    \[\lambda^2 + \omega^2 = 0 \iff (\lambda + i \omega)(\lambda - i \omega) = 0\]

より,求める微分方程式の一般解は

    \[ x = C_1 \cos \omega t + C_2 \sin \omega t\]

となる.(ただし,C_1, C_2 は任意定数であり,初期条件によって値が変わる.)
ここで,C = \sqrt{C_1^2 + C_2^2}, \sin \phi = \dfrac{C_1}{C}, \cos \phi = \dfrac{C_2}{C} とおくと三角関数の合成より

    \[x = C \sin (\omega t + \phi)\]

と書き表すことが出来る.
ここで,それぞれの変数の名称と意味は以下のようになっている.

変数 名称 意味
x 位置 質点の位置
C 振幅 振動の中央からの最大変位量の絶対値
\omega t + \phi 位相 質点の位置を角度で表したもの
\omega 角振動数 1 秒当たりに何ラジアン分位相が進むかを表した数
\phi 初期位相 t = 0 での位相
\dfrac{2 \pi }{\omega} = 2\pi \sqrt{\dfrac{m}{k}} = T 周期 単振動の 1 往復する時間
\dfrac{1}{T} = 2 \pi \sqrt{\dfrac{k}{m}} = f 振動数 1 秒当たりの往復数

このように,数学的な考察により質点の運動が三角関数で表されることが直ちに分かる.